これだけは知っておきたい、遺産相続ガイド

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相続者のいない遺産はどこへいく

 天涯孤独の身で、遺産の処分方法について何も遺言を残していない場合、その財産はいったいどこにいくのでしょう。基本的に受取人がいない財産は、国のものとして国庫に入ることになります。
 遺産を相続すべき人が存在しないというケースは、天涯孤独の身の上というだけではなく、殺人などで相続人が相続欠格となったり、相続排除が認められたり、相続人が相続放棄を行った場合にも起こります。事情はさまざまですが、このように相続人が存在しない場合を、相続人不存在といいます。ただし相続人が行方不明であり、失踪宣告されていない場合や、法定相続人がいないとしても遺言で遺贈が指示されている場合などは、この相続人不存在には当たりません。相続人不存在であれば、被相続人の債権者、特別縁故者などの利害関係のあるものや、検察官などが裁判所に相続財産管理人の選任を申し立てます。
 相続財産管理人は、相続人がいない、もしくは不明な相続人不存在の場合は、戸籍や住民票などをたどってまず相続人を捜すのが原則です。そこで法定相続人が発見されれば、もちろんこれは通常通り遺産相続が行われます。また相続人が存在せず、被相続人の特別縁故者が遺産を請求した場合は、家庭裁判所の判断により、その財産の一部、もしくは全部が特別縁故者に分与され、残った財産は国庫に入ることになります。特別縁故者として認められるのは、例えば内縁の妻や夫など、長く生活を共にしていたもの、病気療養などを支えてきたものなどが該当します。では、特別縁故者が存在し、長年あったこともない相続人が現れた場合はどうなるのでしょうか。被相続人の生活を支えてきた特別縁故者に相続権がなく、死亡するまで音沙汰もなかった相続人が、全てを相続してしまうのは気の毒な気がしますよね。ですからその場合は、家庭裁判所の判断によりますが、相続人が存在する場合でも特別縁故者に相続が認められる場合があります。

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