正しい遺言状の書き方講座
遺言状で遺産相続を行う場合、きちんとルールにのっとった遺言状でなければ法的に無効になることがあります。ただ、書きさえすれば遺言状が効力を発揮するわけではないのです。これからせっかく書いた遺言状が無効になったり、逆に自分の意思に反する遺言状が作成されたりしないように、遺言状について詳しくみていきましょう。
まずは遺言の方式です。遺言は、大きく分けると「普通方式」と「特別方式」の2つがあります。特別方式による遺言は、何らかの事情があって通常の、つまりは「普通方式」の遺言を残せない場合に遺言する方法です。例えば病気や事故などで死が迫っている場合、船舶中で死が迫っている場合などになります。ですからほとんどの遺言は、普通方式ということになります。特別方式は、一般危急時遺言、難船危急時遺言、一般隔絶地遺言、船舶隔絶地遺言があり、それぞれの状態で必要とされる立会人がいれば遺言が出来ます。また、緊急時遺言は体の自由が効かない場合も多いと考えられるため、立会人がいれば口頭で残した遺言も有効になります。
そして普通方式の遺言は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、遺言を残す場合は、まずこのどれかを選ぶ必要があります。自筆証書遺言は、文字通り自筆で書く遺言で、パソコンやワープロなどで作成したもの、日付(年月日)のないものは無効になります。この自筆証書遺言は、作成する場合には何の手続きも必要ありませんが、遺言を執行するためには、相続人が家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。この検認手続きを行っていない遺言は、法定相続人であっても中身を見ることは禁じられています。
次に公正証書遺言とは、公証人が必要になる遺言です。ですが遺言を残す人の口述を元に、公証人が遺言状を作成しますから、手が不自由で直筆の遺言を残せない場合などに用いることが出来ます。署名についても、公証人が署名出来ない理由を記すことで、署名に変えることが出来ます。また、通常は公証役場へ出向いて遺言を作成しますが、出歩くことが困難な場合は公証人が自宅や病院などに出向いて、遺言を作成することも出来ます。費用はかかるものの、家庭裁判所での検認手続きも不要で、改ざんや破棄される恐れのない、安心できる遺言ともいえます。
最後に、秘密証書遺言です。これは、遺言があるという事実だけを公にして、その遺言内容は明らかにしないという遺言です。公正証書遺言では、どうしても第三者に遺言の内容が分かってしまいます。それを避けるためのものが、秘密証書遺言ということになります。そして自筆証書遺言とは異なり、パソコンやワープロで作成することも可能です。そして出来た遺言を、公証人によって証明してもらうことになります。内容が秘密にされていますから、遺言状として有効か無効かは開けてみるまでは分からず、自筆証書遺言同様、検認手続きが必要になります。
公正証書遺言の場合は、いわばプロの手助けを借りての遺言ですから、被相続人の死後、無効になるということはまずありません。ですが自筆証書遺言、秘密証書遺言の場合は、遺言として無効になることも実際にあります。次にどんな場合に遺言が無効になるのか見ていきましょう。