遺言状の効果
正しく作られた遺言状は、いつから効力を発揮するのでしょうか。これは考えるまでもなく、被相続人が生きている間は効力を発揮しません。だからこそ、遺言状は何度でも書き換えが可能で、最も新しいものが有効となるわけです。では、被相続人が亡くなったとされるのは、どの時点でしょうか。死亡した瞬間? それともお役所に死亡届を出して受理されたときでしょうか。通常は、亡くなったときに効力を発揮しますから、医師によって、死亡が確認された時からということになります。これは相続人が、自分に相続権が発生したかを知ったかどうかは全く関係なく、有効になります。
では、遺言の効力はどのくらいのものなのでしょう。遺言が実際に無効になることもありますが、遺言状があったことで、相続が「争続」へと発展することもままあります。最も異議申し立てが多くなるのは、本来相続すべき人が、最低限の遺留分すら遺産を相続できないケースです。遺留分を持つ相続人に、遺留分以下、もしくは相続なしということになれば、その遺言状の効力は発揮できないことになります。相続を減らされた人がいる場合は、逆に相続分が増えた人もいるわけですから、この場合も人の遺留分を侵しての相続はできないということになります。
もちろん、法定相続による遺産相続よりも、遺言は優先されるというのが原則です。ですが、全てが被相続人の意思に従って相続されるとも限らないのです。
また、遺言はあくまでも、被相続人の意思を表すもので、相続人は相続をするか、しないかは自分の意思で決めることができます。被相続人が、どうじてもこの人に相続させたいという遺言を作成したとしても、相続させる強制力はもってはいないのです。